シャープ(株)は、昨年の「CEATEC2015」で開発発表していたモバイル型ロボット電話「RoBoHoN(型番:SR-01M-W)」を5月26日に発売開始する。価格は198,000円(税抜)。使用にあたっては、シャープが提供するクラウドサービス「ココロプラン(月額980円)」への加入が必要となる。
「ロボホン」は、ロボットクリエイター高橋智隆氏と、シャープが共同で開発した世界初のモバイル型ロボット電話。二足歩行ができるヒューマノイドロボットとしては、きわめて小型(身長約19.5cm/体重390g)を実現し、またAndroidスマートフォン機能を内蔵しており、LTE/3G回線に対応し通話も行える。
オーナーは、電話やメール、カメラなどスマートフォンの基本機能や、専用アプリを使った各種サービスを、ロボホンと対話しながら使用できる。また、ロボホンには新開発の小型レーザープロジェクターも内蔵しており、写真や動画、地図などを投影することもできる。これら各種機能を使うユーザーの利用状況やプロフィールなどを、ロボホンが学習することで、より自然なコミュニケーションが可能となる。
前述の基本機能のほか、ロボホンには「リマインダ」「アラーム」「検索」「音楽・動画」「天気」「ニュース」などのアプリが内蔵されている。「天気を教えて」や「●●の動画」などと話しかけることによって、ロボホンは天気を教えてくれたり、検索した動画をプロジェクターで再生してくれたりする。
さらに今後は、様々な専用アプリを用意する予定(6月末以降)。現時点で、「秘密結社 鷹の爪」を手がけるDLEが釣りゲームアプリを開発。Japan Taxiはロボホンと会話しながらタクシーを呼ぶアプリ、オージス総研はロボホンと一緒に料理ができるクッキングアプリを提供予定。そのほかにも、Yahoo!JAPANやタカラトミー、ツイッター、時事通信社、面白法人カヤックなど22社がパートナー企業として発表された。
これら専用アプリは、クラウドサービス「ココロプラン」に加入していれば自由にダウンロードできる。ロボホンにインストールできるのは専用アプリのみ。一般のAndroidアプリはインストールできない。アプリ内課金やアプリ単体課金については検討中。
ロボホンの使用には月額利用料金が必要
今回ロボホンの販売開始にあたり、シャープでは「ココロプラン」などクラウドサービス・回線・製品保証・製品の予約販売に関する各サービスを提供する。まずシャープ自らがMVNO事業者として、RoBoHoN用のモバイル通信サービスも提供。データSIMと音声通話SIMを使ったプランを用意しており、音声通話SIMを契約すれば通話機能を利用できるようになる。
プランは「データSIM」と「音声通話SIM」で、通信容量別に3種類6プランを用意している。「ロボホンと会話を楽しむプラン1GB(データ:月額650円、音声通話:月額1,350円)」「ロボホンともっと楽しむプラン3GB(データ:月額950円、音声通話:月額1,650円)」「ロボホンともっともっと楽しむプラン5GB(データ:月額1,580円、音声通話:月額2,280円)」。いずれも、開通事務手数料3,200円(税抜)が別途必要。もちろんそれ以外のMVNO対応SIMカードも使用可能で、ユーザーが自分で任意のデータSIMまたは音声通話SIMを挿して使用できる。対応情報はRoBoHoN公式サイトでアナウンスしている。
また、ロボホンが故障した場合のケアプランも用意している。月額990円(税別)の「ケアプラン50」では、商品購入後5年間にロボホンが故障すると修理料金や消耗部品代を50%割引する。月額1,650円(税別)の「ケアプラン70」では、同修理料金を70%割引する。ケアプランへの加入はロボホン購入時のみ可能。
家電を人工知能化する“AIoT”「ココロプロジェクト」
同社ではIoT(モノがインターネットに繋がる環境)にとどまることなく、それに人工知能(=AI)を加え、モノの人工知能化「AIoT」に取り組んでいく。それを「ココロプロジェクト」としてハートのロゴマークを付与する。ロボホンはその第一弾になり、同社の代表取締役 兼 専務執行役員 コンシューマーエレクトロニクスカンパニー長谷川祥典社長は「AIoTにより、家電は単なる道具ではなく、ユーザーが愛着を感じるパートナーになる」と語った。ロボホンの月産台数は5,000台で、年間6万台の販売台数を目標に掲げる。
また続いて登壇した同社コミュニケーションロボット事業推進センター 商品企画部の景井美帆氏は、「シャープがスマートフォン開発で培った技術を全て詰め込んだ。ココロボなどの対話技術やエモパーのセンシング技術を応用して行動や状況を理解できるようになっている」と説明した。対話でほぼすべての操作ができるスマートフォンとしては世界初となる。
最後に、共同開発のロボットクリエイター高橋智隆氏は「個人的には初代iPhone以来のイノベーションだと思う」と述べた。「ヒューマノイド型ロボットは人間のパートナーという存在、イメージとしては、ゲゲゲの鬼太郎の目玉おやじや、魔女の宅急便のジジのような存在だ。かつてガラケーとスマホの2台持ちをしていたように、次はスマホとロボホンを2台持ちすることになる。そして、いつの日かロボホンがスマホにとってかわる。ロボット単体の進化というよりも、人々のくらしが変化していく。そういう時代が来ると思う」と語った。